インサートナットの締結不良である空回り(共回り)、ナットの浮き、樹脂割れなどにお悩みではありませんか?本記事では、これらのお困りごとの原因と、高トルク締結時の製品選定や具体的な対策を解説します。
インサートナットを金属製部品と同じ高いトルクで締め付けると、樹脂が割れたり変形したりして、結果的に締結が緩んでしまう恐れがあります。樹脂への負担を減らしつつ、安定した締結強度を長期間保つためには、金属とは異なるアプローチでの適正なトルク管理が非常に重要です。
インサートナットの締結において、不適切な取り付け条件やオーバートルク(必要以上の強いトルク)が発生すると、さまざまな不具合が起きます。ここでは、インサートナットが抜けてきたり、樹脂が破損したりする代表的な失敗例について解説します。
ジャッキアップとは、締結するネジの軸力によってナットが外側へと逃げようとする力が働き、結果としてインサートナットが浮き上がったり抜けたりしてしまう現象です。この不具合は、取り付け条件が適正でない場合に発生しやすく、インサートナット本来の固着力が失われてしまいます。
高トルクで締め付けることで、ナット自体が回転してしまう「共回り(空回り)」が発生し、摩擦や過剰な応力によって樹脂製品を壊してしまうことがあります。さらに、必要以上の強いトルクで無理に締め付けると、樹脂部にクラック(割れ)が生じる原因にもなるため細心の注意が必要です。
インサートナットのジャッキアップや空回りを防ぐためには、事前の設計段階での工夫や、使用条件に合った製品選びが欠かせません。ここでは、不具合を未然に防ぐための具体的な対策を解説します。
第一の対策として、相手材の下穴径をインサートナットの外径よりも小さく(適正に)設計し、確実に接触させて反力を得ることが重要です。また、パッキンなどの柔らかい部材が間に挟まっていると、締結力が分散して反力が逃げ、ナットが抜ける原因になります。そのため、直接硬い材料に接触するよう設計を見直すか、柔らかい部品の排除を検討してください。
第二の対策として、用途に合ったインサートナットの選定を見直す方法があります。接触面積を大きくして抜け方向への力を効果的に分散させることができる「フランジ付きナット」を選ぶことで、ジャッキアップを防げます。また、高トルクでの締付けによる共回りを防ぐために、耐トルク性能と抜け強度を大幅にアップさせた特殊形状のインサートナットを採用することも有効な選択肢です。
インサートナットの性能を十分に発揮し、抜けや樹脂割れのリスクを軽減するためには、事前の設計段階から適正な下穴設計やトルク管理を行い、適切な製品を選定することが重要です。


