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拡張方式

目次

インサートナットには様々な種類がありますが、本記事では部品を成形した後に取り付ける「成形後インサート」の中でも、特に「拡張方式」に焦点を当てて解説します。拡張方式のインサートナットが持つ構造や利点、具体的な使用手順、選定時の注意点について確認しましょう。

インサートナットの拡張方式とは

ナット本体が母材の内部で、物理的に広がることで固定される仕組みを指します。具体的には、母材に設けた下穴にナットを挿入した後、ボルトを締め込むことで、ナットの先端または胴体部分が変形し、傘のように開いて内側から母材に食い込みます。これにより、高い引き抜き強度と回り止め効果が得られます。

この方式は、部品成形後に取り付ける「成形後インサート」に分類され、熱で母材を溶かす「熱圧入方式」や、圧力で押し込む「圧入方式」とは異なります。熱源が不要なため熱に弱い材料にも使用でき、片側からの作業で完結するため、裏側に手が届かない箇所への取り付けも可能にするなど、作業上の利点を持っています。

拡張方式の位置づけと他の方式との比較

拡張方式は、部品が完成した後にインサートナットを取り付ける「成形後インサート」の一種です。この方式は、熱や圧力を利用する他の方式とは異なる特徴を持っています。

拡張方式

ナットが内部で広がり、母材を内側から固定します。後付けや片側からの作業が可能で、母材のボス形状に比較的影響されにくい利点があります。主な母材は、樹脂・木材・軟質金属などです。

拡張方式は熱源を必要とせず、またナット自体が拡張して固定力を得るため、熱に弱い材料や、圧入方式では割れが懸念されるような場合にも選択肢となります。

圧入方式

ナットを母材の下穴へ圧力をかけて押し込みます。熱源が不要で、比較的簡易な工具で作業が可能です。主な母材は、樹脂・軟質金属などです。

熱圧入方式

加熱したナットで母材の樹脂を溶かし、冷却固着させます。樹脂と一体化するため、固着力が高いです。主な母材は熱可塑性樹脂です。

拡張インサートナットの主な活用

拡張方式のインサートナットは、その特性から様々な状況で活用されます。一つは、既存製品の補修です。例えば、長年の使用でねじ穴が広がってしまった木製家具や、樹脂製の筐体のねじ穴破損に対して、元の穴を少し拡大して拡張インサートナットを埋め込むことで、締結機能を回復させることが可能です。

DIYや試作品製作の場面では、設計変更などで後からねじ穴を追加する必要が生じた際に役立ちます。部品の裏側に手が届かない箱状の構造物やパネルに、表側からの作業のみでねじ穴を設けられる点も、この方式の利点と言えるでしょう。

拡張インサートナットの基本的な使用手順

拡張インサートナットの取り付けは、いくつかの基本的な手順に沿って行われます。まず、使用するナットの仕様書で定められた直径の下穴を、ドリルなどを用いて母材に正確に加工します。この下穴の寸法精度は、ナットの保持力に直接影響するため、重要な工程です。

次に、加工した下穴にインサートナットを挿入します。製品によっては、ハンマーなどで軽く叩き込む必要がある場合もあります。挿入後、ナットのめねじにボルトを締め込んでいきます。ボルトが締め込まれる力によって、ナットの先端または胴体部分が変形・拡張し、母材の内壁に食い込む形で固定されます。

最終的に、ボルトを規定のトルクで締め付け、ナットが確実に固定されていることを確認して作業は完了します。

選定時のポイントと使用上の注意点

拡張インサートナットを選定する際には、いくつかの点を考慮する必要があります。使用する母材の種類と、その硬さや厚みに適した製品を選ぶことが重要です。

締結に用いるボルトのねじ径や、求められる締結強度、引き抜き強度といった仕様を確認します。ナットのつばの有無も選定のポイント。フランジ付きのものは、母材表面からの沈み込みを防ぎ、位置決めがしやすいという利点があります。

使用上の注意点としては、過剰な力でボルトを締め付けると、ナットの拡張部が母材を破損させる可能性があるため、適切なトルク管理が求められます。

まとめ

拡張方式のインサートナットは、部品が完成した後からでも、汎用的な工具を用いて強固なめねじを設置できる有用な部品です。既存のねじ穴の補修から、製品の機能追加まで幅広い用途に対応します。

この方式の能力を十分に引き出すためには、母材や目的に合った製品を選定し、指定された下穴径の加工や適切な締め付けトルクの管理といった、正しい手順で作業を行うことが大切です。これらの点を踏まえることで、樹脂や木材などの接合部における信頼性の高い締結を実現する一つの手段となります。

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