樹脂成形品に金属ネジを取り付けるインサートナットにおいて、外周に施される「ローレット加工」は非常に重要な役割を担っています。
ローレット加工がもたらす抜け止め・回り止め効果から、主な加工方法の違い、設計上の注意点までを設計者向けに詳しく解説します。
インサートナットになぜローレット加工が必要なのか疑問に思う方も多いはずです。その主な役割と効果について詳しく見ていきましょう。
外周に凹凸や切り込みを入れることで、樹脂へのインサート成形時に樹脂が入り込みます。これにより、強力な抜け止め・回り止め効果を発揮します。
金属部品と樹脂との高い一体性を実現するための重要な加工です。
一般的な部品では、力が入りやすくなるすべり止めや落下防止として機能します。
インサートナットにおいては、樹脂成形時の高い位置精度を実現するためにも重要です。
ローレット加工にはいくつかの模様と加工方法が存在します。それぞれの特徴を把握しておくことが設計には不可欠です。
ローレット加工の模様には、主に「綾目模様」と「平目模様」の2種類があります。
ピッチ・溝深さ・線の角度などによってさまざまな形状が存在し、四角目や斜目などもよく見られます。
ローラー状の工具で削る方法です。長尺物でも連続的に切削でき、効率よく加工できる点が魅力と言えるでしょう。
転造加工に比べて綺麗に仕上がりますが、加工物の径は小さくなり切り屑が出ます。また、必要な部品のコストが高めになる傾向があります。
溝付きのローラー状の工具を押し当てて変形させる方法です。切り屑は出ませんが、山になった部分の径は加工前よりも大きくなります。
硬い材質や薄い形状には不向きです。加工前の下径の大きさによって仕上がりが異なるため、寸法管理が非常に重要になります。
ローレット加工を取り入れるにあたって、いくつか気をつけるべきポイントがあります。量産・設計時における注意点を確認しておきましょう。
切削および転造どちらの方式をとっても、加工物の径に影響を与えます。形状によっては精度に影響が出る可能性も否定できません。
また、使い勝手を良くするために行われることが多く、ローレット加工のない部品と比べてコストアップにつながります。
インサートナットのように内側のネジ長が長い部品では、切削時の切り屑処理が難しく加工条件の工夫が求められます。
さらに、細かい彫り込みになっているため汚れやごみが溜まりやすくなります。
インサートナットのローレット加工は、樹脂との一体性を高め、抜けと回りを防止するために不可欠な要素です。
一方で寸法管理や切り屑処理などの課題も存在します。量産設計の際は、加工の専門知識を持ったメーカーに相談することが重要です。


