インサートナットのメリット

インサートナットは、プラスチックや樹脂などの合成樹脂製品の結合部を強化するための金属パーツです。表面に施されたローレット加工により素材への固定力が高く、家電製品から自動車まで幅広い製品に使用されています。ここでは、インサートナットのメリットについてそれぞれ解説していきます。

優れた締結力と耐久性

樹脂製品は金属製の耐久性能の高い製品などと違い、そのまま金属のねじで締結しようとすると、強度不足から樹脂割れや変形といった現象が起こる恐れがあります。しかし、インサートナットを使用することによって、樹脂製品の結合部に金属並みの強度を持たせることが可能となります。表面の突起が樹脂に食い込むことで、振動や熱による緩みを防止し、長期的な耐久性を確保できるためです。

また、腐食や摩耗に強く、製品の寿命を延ばすことができるのも特徴です。通常のナットと比べて樹脂製品の割れや変形が起きるのを防ぎながら、安定した締結力を維持できます。特に携帯電話やゲーム機、家電製品など、日常的な使用で振動や衝撃にさらされる製品において、その耐久性の高さは頼りになるでしょう。

補修用途でも活用でき、ねじ山が潰れてしまった場合の修理や、強度が必要な箇所の補強としてインサートナットを用いることで、接合部の機能を復活させる用途にも活用可能です。

多様な固定方法に対応

樹脂素材にインサートナットを固定する方法にはさまざまな種類があり、用途や素材に応じて複数の方式から選択可能です。

最も一般的な「圧入方式」はハンマーやポンチのみで行えて、特別な工具を必要とせず簡単に作業ができます。「熱圧入方式」では、ハンダゴテなどで加熱しながら圧入することで樹脂部分が溶けて固着するため、より確実な固定が可能です。「拡張方式」は、専用のポンチを使用して固定するため、幅広い材質に対応できます。

また、成型時にインサートナットをあらかじめ組み込む「成型時インサート」という方法もあり、量産品の製造では効率的な生産が可能です。

設計の自由度が高い

インサートナットには、スタンダードタイプやフランジタイプ、さらに片面タイプと両面タイプなどさまざまな形状が用意されており、製品の設計に合わせて適切なものを選択できます。

また、成型時に組み込む成型時インサートや、成型後に組み込む圧入方式、熱圧入方式、拡張方式など、製造プロセスに応じた柔軟な対応が可能な点も強みと言えるでしょう。

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