製品の組み立てや設計現場で、「インサートナットがうまく固定されない」「ねじを締めたらナットが浮いてきた」といったお悩みはありませんか?
原因となる「ジャッキアップトルク」の概要と、抜けを防ぐための具体的な対策について設計者やエンジニア向けにわかりやすく解説します。
インサートナットが一定の条件で締結されている際、締結するネジの軸力によりナットが浮き上がったり抜けてきたりする現象のことです。
インサートナットは本来、樹脂などにしっかりと固着されなければなりません。しかし、取り付け条件が適切でない場合、締め付けの力によってナット自体が抜けてしまいます。
根本的な原因は、取り付け条件が適正でないことです。ナットが正しく固定されていないと、ねじ締めの際に回転や引張りの力がナットに伝わります。
その力がナットの外側に向かって逃げようとし、浮き上がる力に変わるというわけです。
締め付けられる相手材の穴径がインサートナットの外径よりも大きい場合、部品同士が接触しません。
ねじを締めてもナットに反力がかからず、トルクがすべてナットを浮き上がらせる方向に働きます。結果としてナットが抜ける可能性が高くなります。
パッキンやシール材など、柔らかいものがインサートナットと部材の間に挟まっている状態にも注意が必要です。
締結力が分散され、ナットにしっかりとした反力が働きません。これもジャッキアップの原因となり、ナットが徐々に抜け出してしまいます。
インサートナットの抜けを防ぐためには、取り付け条件を見直すことが重要です。具体的な対策を4つ挙げてみました。
インサートナットの外径よりも小さい穴に挿入し、相手材と接触させましょう。適切な下穴を設計することが基本かつ最も重要です。
インサートナットの種類により下穴の仕様が異なるため、確認が必要です。
接触面積の大きいフランジ付きのインサートナットを使用するのも効果的です。抜け方向への力を効果的に分散させ、インサートナットの接触面や面圧を大きくすることができます。
設計が許す限り接触面を大きくしましょう。
パッキン等の柔らかい部品を使用する際は、ナットが直接硬い材料に接触するよう設計を見直すべきです。止水機能を持たせたい場合でも注意が必要です。
状況によっては、柔らかい部品の除去を検討してください。
必要以上に強いトルクでの締め付けは避けなければなりません。製品や材質に応じた適正なトルク値を守って施工することが重要です。
これにより、ナットの抜けや樹脂部の損傷といった不具合を未然に防ぐことができます。
ジャッキアップトルクは、適正な下穴設計やフランジタイプの検討、適切なトルク管理などの取り付け条件で防げる現象です。
インサートナットの性能を発揮させるためにも、設計段階から注意深く取り組む必要があります。最適な締結方法を選ぶためにも、専門家への相談をご検討ください。


